top of page
saint-paul-g164bf818e_640 (1).jpg

​聖パオロとの再会と温かい抱擁

Paolo 01-1.jpg
Paolo 01-2.jpg
Paolo 02-1.png
Paolo 02-2.png
Paolo 02-3.png

 ローマでは、別記のように、いろいろな場所を競歩で巡ったわけですが、僕は何を勘違いしたか、100ユーロ紙幣しか持っていなかったので、とっても不便な思いをしました。イタリアでは、ほとんどの店でこういう「高額紙幣」は拒否されるんですかねー。結局、地下鉄のパスですらカードでの支払いとなり、いつになっても高額紙幣がそのまま財布に残っていました。しかし、売店で何気ないお菓子屋や飲み物を買ったりすることもできず、公衆トイレとかも2ユーロ硬貨を持っていないと使えないみたいな状態で、とにかく困りました。

 

 バチカンにある聖ピエトロの大聖堂はあまりに有名なのに対し、ローマの郊外にある聖パオロの大聖堂はあまり知られていません。色々調べてみましたら、ローマにはこの二人の聖人が捉えられ拷問を受けた牢獄や、斬首された聖パオロの首が三度転がった泉もあるとかいうことだったのですが、僕的にはそういう場所には行きたくない気持ちが強いというか、僕のガイドたちに「行かんでよろしっ!」と諭されたというか、とにかく予定から外しました。でもやっぱり、やはり聖パオロの大聖堂には必ず行こうと決めていたのでした。

 

 バチカンからローマに向かい、イェシュアの軌跡を辿った後に、次はサン・ロレンツォ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂にも足を伸ばそうとして勇み足で歩き始めた辺りで、思いっきり道に迷いました。そして細い住宅街の道を越えてやっと辿り着いてみたら、これまた意味不明な奇抜な営業時間で、真昼間なのにあと3時間ぐらい開かない状態で、「何の休憩時間?」と訝しげに思いながら、途方に暮れました。ま、仕方がないので、聖ロレンツォは断念し、地下鉄の駅を探してまた歩き出すことにしました。

 

 どうやら、その辺りは大学のキャンパス地帯だったようで、のほほ〜んとした昼下がりの顔で歩いている学生たちの群れを見つけたので、涼しい顔を装い紛れ込み一緒になって歩きつづけること30分、ようやっと地下鉄の駅に辿り着きました。そこからBラインに乗って、サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂のある駅にようやっと到着しました。実は、マルタ島でのジョー・ディスペンザのワークショップの過酷なスケジュールで体の調子を崩し、超密なアクティビティーで何かを伝染されたのか(このワークショップについては、またいつかお話しします)、ローマに到着した翌日からインフルエンザっぽい症状で苦しみ始めていました。ですので、ここまでやってきた頃には、身体は文字通りボロボロでした。しかも、高額紙幣問題で、午前中のクロワッサン以来何も飲み食いしていず、トイレにも行けていない状態で、熱も下がらずフラフラで身も心も疲労困憊を極めていました。ま、でも旅とは残酷なもので、そんな僕を知らない人々が次々に無情に通り過ぎてゆきます。

 

 サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂のある方向は地図で確認済みでしたので、駅の高架下を抜けて左向こうに進むと、確かにそれっぽい一角が見えてきました。しかし、結構でかい敷地で、入口がどこなのかわからないのです。仕方がなく、道沿いに歩いてちょっとぐる〜っと回ってみますと、何やら武装した兵隊さんがいるゲートっぽい箇所があり、そこを抜けると、敷地の入口の正門らしきものが見えてきました。

 

 「...あれっ?」

 

 門が閉まっているんです。しかも、「これでもか!」ってぐらいに頑丈な鎖が何重にもかかって、完全に閉まってるんですよ。

 

 「え〜〜〜、ここまでやっと来たのにっ!嘘だと言っておくれやす〜!」

 

 全身の力が一気に抜け、その場にヘナヘナっと倒れそうになりました。でも、倒れても誰も気にかけてくれるわけでもなく、弱音を吐くという選択肢はないので、深いため息をついてから顔をスッと上げて、またすごすごと歩き出しました。

 

 「えっ、あれ?」

 

 少し行って、敷地の裏門らしきものの前を通り過ぎようとすると、その門が開いていることに気がつきました。しかも、その狭い門の向こうにはカフェがあるんです。

 

 その瞬間、「なあんちゃって。閉まってないよ〜ん。開いてるよ〜ん!ドッキリでした!驚いたべ〜?」と、イタズラ好き(?)な聖パオロのお爺さんの笑顔が浮かび、彼の優しそうな笑い声が聞こえてきました。

 

 

 不思議なことに、このカフェでは、100ユーロ紙幣が使え、しかも無料でトイレも使わせてくれました。熱感と全身のだるさに加え、空腹と、喉の渇きと、破裂寸前の膀胱でもう死にそうだった僕にとって、そこはまさに救いのオアシスでした。

 

 「ありがとう、聖パオロ!」

 

 そんな感謝の気持ちで温かくなった身体を起こしカフェを出て、大聖堂の中に入っていきました。いくつか角を曲がって、建物の中に入るや否や、ものすごい温かいエネルギーに包まれました。

 

 「おかえり!」

 

 聖パオロの優しいエネルギーにホワッと抱擁され、熱感や全身の痛み・だるさが一瞬でスーッと和らいで、気づくと目から涙がボッロボロ流れていました。

 

 「ありがとう。ありがとう。ありがとう。」

 

 僕は自分が聖書に時代に生きていたことは知っています(地球での人間としてのアセンション・サイクルの2度目が終わりに差し掛かった頃です)。しかし、聖パオロとの具体的な繋がりは分かりません。でも、やっと家族に再会できたような喜びで、もう涙が止まらないんですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 他にほとんど誰もいない大聖堂の奥の椅子に一人ポツンと腰掛けて、聖パオロのエネルギーに抱かれたまま1時間くらい幸せな気持ちで瞑想していました。

 

 ローマでやっと、故郷を見つけました。

bottom of page